一星を獲得した『タ・テロワール/Taïrroir 態芮』は、新進気鋭のシェフウェイ・ホー(何順凱)が手がけるレストランで、店名は台湾(台湾語での発音と区別するためローマ字で表記する)と「テロワール(フランス語で風土)」を組み合わせたものとなっている。コース料理は台湾や中国の要素を取り入れたフランス料理として知られているが、多くの人がウェイ・ホーの料理を「台湾魂を吹き込んだフランス料理」と定義付けている一方、彼自身はそうではないと主張する。ウェイ・ホーはメディアとのインタビューで次のように語った。「私が作るのは、まったくフランス料理ではないし中華料理でもないしタイ料理でもない!こう言っておきたい、私のレストランは私が作りたい料理を作っているだけなのです。」また、星を獲得した栄誉はレストランのチーム全員の努力によるものであり、チームあってのシェフだと感謝を述べた。「優れたチームがいなければ、優れたシェフも存在しない」と。
ミシェリンの推挙理由は次のとおり。「エレベーターのドアが静かに開くと、天井に約1800枚の銅板がまるで浮遊しているように飾られている。このインパクトが視覚的に驚きを与える。フランスの有名レストラン「ガイ・サヴォイ」とシンガポールの「Jaan(ジャン)」でそれぞれ修行を積んだウェイ・ホーとそのチームは、ガラス扉に囲まれた半オープンキッチンで圧巻の技を披露し、地元の素材を巧みに料理に昇華させている。その料理のテクスチャー・味わい・プレートアートは、伝統的な概念を完全に覆している。」