慈航道頭(じはんどうとう)は日月潭で最も名高いランドマークであり、県道21甲線上に位置しています。玄奘寺から道の入り口までは約300メートル、駐車場から登山口までの道のりは約570メートルで、道脇には巨木が立ち並び、夏でも涼しさを保ちます。階段は人体工学的に設計されており、平坦な地面を歩くような感覚で登ることができ、100メートルごとに設けられた刻印によって残り距離が分かりやすく表示されます。道中には蝉の鳴き声が響き渡り歩く人の背中を押すように聞こえます。汗をかきながら登っていくと、道の終点には鮮やかな真紅のジンチョウゲが迎えてくれ、角を曲がれば壮大に空へと伸びる慈航道頭が現れます。足元には白い小石の敷き詰められた広い場面があり、天上の楽園に来たかのような感覚にさせてくれます。
標高954メートルの山ばし(二龍山ともいう)に建つ高さ46メートルの慈航道頭は、正確に1,000メートルの高さにそびえます。蒋介石によって1969年に母・蒋宋美齢夫人への供養として建設され、1971年竣工となりました。展望台には、湖の全景が広がり、東北側は丸くて太陽のように、西側の湾曲した形は月のように見え、その名前「日月潭(にちげつたん)」の由来を説明してくれます。360度周囲を眺め、湖をはるか西に臨めば、蓮華寺前の環壁半島の休憩所が対岸の小湖心亭、玄光寺、玄奘寺、そして慈航道頭と一直線上に位置し、「幸福軸」となっています。この軸線沿いに祈願する習慣が、「実現軸」として知られているのです。
慈航道頭の対岸には、王太夫人銘の二階建て記念館があります。一階は蒋介石の休養室として使われ、その肖像画や家具が展示されています。地下には建設の写真、もともとの設計図、蒋介石の手書きの修正が並び、プロジェクトへの誠意が伝わってきます。記念館を囲む梅の木は冬には見事な白とピンクの花を見せてくれます。慈航道頭へ登る旅は自然の中で散歩をしながら日月潭の美しい景色を楽しむ他にも、塔の歴史や神話に触れ、一日かけて得られる充実の体験になります。