波に乗って海の眺めを楽しむだけでなく、新屋(シンウー)はどんなふうに体験できるだろうか。百年の歴史を持つ石杭漁堰(石の魚籠)の伝説を耳にすれば、人と自然がかつてどれほど調和して共存していたかがわかる。見た目はただの石の積み重ねに見えても、そこには何百年経っても人々を驚かせる祖先の知恵が隠されている。台湾本島最大の石杭漁堰群が、あなたの探訪を待っている。
新屋の石杭漁堰の起源は清代にさかのぼる。当時、漢人の開拓者たちが渡来し、地元の川石を手作業で積み上げて、数百メートル、時には数千メートルにわたる石堤を海岸沿いに築いた。重機のない時代に一つの漁堰を完成させるには、村全体の団結力が必要だった。その労働が、村人同士の絆を自然と強めた。漁堰の仕組みは「魚を囲う」ことにあり、満潮時に魚が石の構造物の中に入り、干潮で水が引くと魚が残って、漁師が簡単に獲れる。
現在、新屋の北海岸(深圳近く)から鷹石洞(イングーツィ)にかけて9つの石杭漁堰が残る。そのうち鷹石洞の9基は最もよく保存され、いまだに漁に使われている。台湾西海岸に連なる百年の石杭群は「海上の万里の長城」とも称され、人類文化の結晶であると同時に、海岸生態の多様性を観察する絶好のスポットでもある。牡蠣、カブトガイ、エビ、カニ、満潮時に花のように咲くイソギンチャクなど、石壁に生息する潮汐生物がカラフルな生態の華を添える。漁堰はもはや漁師の生計を支えることはないが、祖先の知恵を記念する歴史的モニュメントとしてそびえている。
(写真提供:桃園市石滬協会)