旧草嶺隧道は、新北市の福隆と宜蘭の石城を結んでいる。台湾鉄道管理局宜蘭線の重要な工事だった。1924年に開通したとき、東南アジア最長の鉄道隧道で、全長2,167メートル。台北と宜蘭を結ぶ重責を担っていた。旧草嶺隧道の南北両洞口には「白雲飛処」「制天險」と刻まれ、当時の難工事を記念している。台湾鉄道の複線化・電化により旧草嶺隧道は廃線となったが、2008年に自転車道として再開された。民谣「丟丟銅仔」は旧草嶺隧道を通過する体験から生まれた。「火車行到伊都,阿妹伊都丟,哎喲,隧道內……」という名曲は、隧道を走る列車の情景を描いている。「鉄道博物館」コンセプトで整備された自転車道は、線路を模し、レールの面影を残す。照明は昔ながらの油灯風のシェード。旧草嶺隧道を自転車で走ると、通過音効果とともに涼しくノスタルジックな鉄道隧道を駆け抜ける感じで、レトロで楽しい。北部初の鉄道隧道再利用自転車道として、平日は歩行者と自転車、週末は自転車専用の環状ルートに組み込まれている。旧草嶺隧道もこの環状ルートの一部。福隆駅を出発し、隧道を抜けると太平洋の絶景と亀山島が迎えてくれる。海岸沿いに進み、萊萊地質公園、三貂角灯台、卯澳漁村を経て福隆に戻る。全長約20キロ、東北角サイクリングの定番コースだ。