aeeble

嶺腳駅の背後には、美しい赤レンガ造りの蔡家洋館が佇む。目ざとい観光客なら、ここで数々のドラマが撮影されたことに気づくだろう。アーチ状のアーケードと広々とした中庭を前に、1930〜40年代の懐かしいシーンを思い描くのは容易い。スリーバックに身を固めた颯爽とした紳士や、チャイナドレスをまとった婦人たちが、かつて住んでいたかのような──。 多くの人は平渓行きの列車に乗り、嶺腳駅を見向きもせず通り過ぎていく。しかし、ここで降りて山の町を少し歩けば、赤レンガの蔡家洋館が現れる。丸みを帯びたアーケード、亀が顔を出すようなバルコニー、開放的な中庭が、かつての栄華を想像させてくれる。町の遊歩道を一周するのに1時間もかからず、近くには旧橋と滝があり、小径を通って平渓へと続いている。