大キョチョン古道の木製階段を歩けば、そこには苔むした古い石段が見え隠れします。かつては人々でにぎわう商業の道だったと想像できますでしょうか?北迴(ホクウェイ)道路が完成する前、ビジ地区とアンピン地区の先人たちは、この山道を通って山地の農作物を大渓へ運び売っていたのです。時代が移り変わり、かつての賑やかさは黄ばんだ歴史の一ページとなりました。今では豊かな生態が残され、四季ごとに異なる景観を見せる大キョチョン古道は、森林セラピーやフウチョウ(梧桐)の花を楽しむ憩いの場として人気です。
台7線道路経由で大キョチョン古道へ向かうには、竹高作産業道路を通ります。赤レンガの古家は今では人影もなく、静けさだけが漂っています。特に何もせず直進し、竹高作バス停を左折すると、目の前に広がるのは穏やかな風景――頭鳥ダムが青空、白い雲、緑の木々を映し込み、訪れる人々への出迎えの贈り物のようです。この分水路としても知られる新福(シンフー)水路には、水面に浮かぶ一風変わった「浮島」、つまり水の中の土地公廟(トディーコンミャオ)が見えます。水路建設のため土地公は福昌宮へ移され、このユニークな光景が生まれました。さらに進むと大キョチョン寺に到着し、ここからが古道の本スタートです。時おり苔むいた書の刻まれた石壁が現れ、静かに禅の趣を漂わせます。鞍部(アンブ)まで来ると、右へ池春山へ、左へ頭鳥山、南仔溝古道、県衙古道、百階林蔭へ分かれます。石粃堂休憩所で少し休んだ後、下り路を進み、古道のメイン出口である桃51線道路へ出ます。
大キョチョン古道は地元で「フウチョウの花の道」として有名です。5月になると雪山山脈にフウチョウの花が一斉に咲き、渓床に花びらが流れ、それぞれがロマンチックな趣を演出します。森の奥へ進めば進むほど、紫蛇目蝶や紫曙鳳蝶などの蝶が舞い始めます。陽光に輝く蝶の羽は見る者を魅了し、まるで童話の世界に踏み込んだような、大キョチョン旅行のかけがえのない思い出となるでしょう。