陸光四村のそばを歩くと、赤レンガの壁に緑の窓枠という、江戸レトロ感のある建物があります。中正堂という看板が付いたこの建物は、見事な造りで人々に立ち止まりたくなるほどの魅力があり、かつては地元の人々から映画館として親しまれ、民国100年(2011年)には桃園市の図書館として生まれ変わりました。民国53年(1964年)には国防部陸軍総部が文康・保健センターとして設立され、将校やその配偶者だけでなく大楠の地元住民も利用できた施設でした。現代では、多くの人の生活思い出を引き継ぐ大楠図書館ですが、1950年代の軍工建築の特色を引き継いでおり、昔の映画館だった頃の販売口は今はポストや返却口として活用されます。重慶街に向かう建物の外観は中軸対称のデザインで、洗い出し石の山型壁が見られ、シンプルなラインが現代アーキテクチャの魅力を漂わせています。館内に入ると、起伏のある床や一列ずつ並んだ観客席、壁に残る昔のスクリーンの穴が、訪れた人々に映画館の時間を連想させます。1階の中央には昔の映画館の雰囲気を引き継ぐマルチメディアルームが設けられ、2階では中正堂とその設備の復元過程に関する展示も行われています。さらに、図書館の魅力としてはフェンケル式鋼架の屋上を挙げられます。交差する鋼架構により、古き良き工業風が加わっており、ロフトへ上ると下への眺めには圧倒的な視覚効果があります。2階建て構造も挑高設計により、室内は明るく開放的です。閲覧スペースだけでなく窓辺にもクッションが設置され、どこにいても本の海に浸ることができます。