三聖廟、すなわち三侯の廟は、新北市双渓区双渓村の長安街に位置し、南宋の三人の忠義の臣・文天祥、陸秀夫、張世傑を祀る廟である。
乾隆帝46年(1781年)、福建省龍海県江都郷出身の連元橋が人々を率いて海を渡り台湾へ渡った。彼は文天祥の神像を奉じ、山や川を越えて双渓に到着した。双渓はまだ開拓されていない広大な原野であったが、風景が美しいため、彼はそこに定住し開拓に取り掛かり、神を祀るための茅葺きの小屋を建てた。
台湾へ移住した人々は、戦を逃れているわけではなかったが、清朝に抗し明を復興する精神を持ち、さらに故郷を離れ海を渡ったため、心に空虚さを感じずにはいられなかった。そこで、神の加護に頼って平穏と安定を求め、文天祥の神像を祀る人が日増しに増えていった。
連元橋は大陸から人々を連れて台湾へ来たため、陸秀夫と張世傑の神像を作り、文天祥とともに祀ることを決め、三忠侯と称した。廟は同治帝7年に完成し、民国83年に大同路の都市計画のため取り壊され再建された。
三聖廟は長年にわたり双渓区の人々の信仰の中心として、香煙が絶えることがない。三忠侯を主神とするほか、三祖、天上聖母、関聖帝君、関張聖王、延平郡王、釈迦牟尼、観音仏なども祀られている。