基隆山の上、金瓜石博物館のすぐ上にある奇塘老街は、かつて鉱山労働者の生活物資が集まる商業の中心地だった。日本統治時代、台湾人は日本の鉱山会社から土地を借りてこの集落を築いた。金瓜石の銅山里に位置することから「金瓜石銀座」や「金瓜石老街」とも呼ばれる。家屋は山の傾斜に沿って建ち、今も少数の住民が生活している。九份と同じ山の町だが、九份老街に比べ商業化や観光客の群れが少なく、本来の山腹集落の風貌を残している。両街とも鉱業で栄えたが、鉱山が衰退し人が移り住んだ後、今では日本時代の独特な建築を眺めたり、山の小路をさまよいながらノスタルジックな雰囲気を味わえる。商店や雑貨屋、カフェがわずかに開いている。かつての華やかさは失われたが、静かに歩けば九份とは違う落ち着きを感じられる。