高記上海点心—60年の華を咲かせる生煎包
真紅の背景に、「高記」の文字は民国38年からここに立ち続けている。三代にわたる受け継がれ、今もなお人気を博すのは名物「生煎包」であり、その秘訣は自然発酵の老面にある。これこそが、もちもちとした皮の小麦の香りを引き出す。だが、この60年の老面を真の実力を発揮させるのは誰にでもできることではなく、十数年の経験の蓄積がなければ、その温度や湿度を見極め、手のこねる力や発酵の時間を制することはできない。そうして初めて、その内なる力が完全に解き放たれる。生煎包の鮮度と熱さを味わうため、滑らかでジューシーな肉餡と包子の底の焦げ香が融合する瞬間を楽しむには、注文されてからすぐに鉄鍋で焼き上げる、というのが一つの絶妙な技。
重酥蟹殻黄も本場仕様、層になって焼き上げられた金色のパイ生地に油葱を包み、サクサクとした食感と層から立ち上る香りに、つい次から次へと手が伸びてしまう。上海人が「一口酥」と呼ぶ所以である。葱烤鯽魚、油豆腐細粉、原盅土雞湯、高祖菜飯などもどれも本場の味で、時には外賓をもてなすための官邸料理としても用いられ、総統府での実演調理にも招かれたこともあり、台北市における上海点心ブームを巻き起こしたと言える。