基山街の軽便路の奥に、「九份鉱山博物館」への案内標識が立っている。道に沿って進むと、同じ名前が掲げられた一軒家が現れる。博物館は、故人となった鉱夫・曾水枝氏が自らの家族所有の建物を改修し、1992年に開館した。曾氏が2012年に亡くなった後は、息子の曾建文と孫の曾怡嫻が営みを継いでいる――それ自体が奇跡に近い。さらに珍しいのは館内のコレクションで、老鉱夫が坑道から運び出した原石が千点以上も所蔵されている。これだけ集めることも難しいが、精錬せずに残しておく気持ちの方がさらに難しい――精錬前の金にも価値があることを忘れてはならない。九份の黄金狂騒時代は遠くなったが、一攫千金の夢は色あせていない。館内には「九号坑」と呼ばれる小さな坑口があり、細いレールがまっすぐ奥に伸び、軽便トロッコが置かれている。鉱夫のランプ、石すり、木材などの道具が散らばり、縮景模型のような坑内風景が旅行者を地底世界へと誘う。展示物の他に最大の目玉は、実際に砂金取りを体験できること――砂を洗い、光る砂金を見つけて、古くからの一攫千金の夢を追える。