淡水の古跡と言えば、真っ先に「紅毛城(オランダ城)」を思い浮かべる? 実はそこから徒歩15分ほどのところに、1886年に建てられた古砲台がある。初代台湾巡撫・劉銘伝が主導して築かせた「滬尾礮臺(レッスンタイム:礮は砲の古字で、発音はパオ)」だ。かつては淡水港を守る軍事拠点として活躍し、今は大砲こそ見えないが、外壁や残る礮座の痕跡から百年以上前の威厳がうかがえる。1985年に国定二級古跡に指定され、高い地形と頑丈な構造が十九世紀の戦争・駐屯に最適な要塞を形づくり、清代台湾近代化の海防施設としても重要だった。清仏戦争後、清は台湾の海防強化のため澎湖・基隆・淡水・台南安平・高雄旗後の五海口に十基の礮臺を築く方針を立て、1886年には巡撫劉銘伝がドイツ人技師バーンズを招き、西洋式礮臺を範本に十基を督造した。そのうちの一つがこの「滬尾礮臺」である。淡水五虎崗の第一崗、つまり最も高い位置に構え、かつては淡水河口と関渡大橋を一望できたが、今は樹木に隠れて見えにくい。滬尾礮臺は坐北朝南(北を背に南を向く)で、西側が新北市忠烈祠、東側が台湾ゴルフ倶楽部、北側が雲門舞集に接している。