紫藤庵(しおんあん)は、喫茶店であるが、単なる喫茶店ではなく、台湾最初の市指定文化財でもあり、台北市で初めて人文歴史的精神と公共空間の意義が特定され指定された「活きた文化財」である。「台湾民主運動、反対運動、自由な学者たちの集まる場所としての人文的な雰囲気を発散させ、教育、文化、政治的な機能と特色を持ち、市民生活文化の意義を強く表し、保存価値がある」と評される。
紫藤庵は、日本式住宅集中地区の一角に位置する古雅な木造建築で、1920年代に建てられた一軒家で、静かで清潔な環境にある。戦後は財政部が接収し、後に住民の末裔が茶芸館を開設した。家の前には古い紫藤が屋根を覆い、つるを伸ばしており、「紫藤庵」と名付けられた。
この古い建物は文芸的な雰囲気に満ちており、時事問題に心を配る人々や前衛的な文化や芸術関係者がよく集まる場所となった。やがて自由主義や社会、政治改革運動の象徴的な空間の代名詞となり、1997年には芸術関係者や業者の尽力により市指定文化財に指定され保存されることとなった。これは、樹齢や建物の年齢だけが理由ではなく、その精神的な価値を評価したためである。
一部の資料出典:紫藤庵