桃園孔廟の創設は、民国74年に地元の人々が孔子廟を建設する運動を発足させることにまで遡ることができます。彼らは石万名や簡麒標などの志士を中心に、東洋文化の代表である儒教思想を広く弘め、孔子祭祀を行う場としてこの孔廟を建設しました。これは民国78年に虎頭山に完成し、台湾で最後に官設された孔子廟です。特に桃園の孔子廟の目を引く点は、一般的な孔子廟のように位牌のみではなく、孔子の立像を安置することにあります。この彫刻は観賞価値も高く、儒教の教義として有教無類・孝悌忠信・仁民愛物・礼楽を尊ぶ思想などの思想や、六経・論語・大学・中庸などの儒教文献は、中国文明に大きな影響を与えただけでなく、朝鮮半島・日本・ベトナムなど東南アジア諸国にも広まりました。また、近年の西洋民主主義思想においてもその重要性が評価されています。
孔子廟を訪れれば、中国建築の美しさを十分に味わうことができます。主要施設としての「大成殿」は、古代中国の宮殿を模範として、二重の屋根や繊細な彩画・多段の斗拱などを備え、威厳ある風格を放っています。金色で装飾された屋根瓦には鴟吻という象徴的な装飾があり、孔子の教育理念「有教無類」を象徴しています。大成殿の前の門である「大成門」の赤色の木戸には門神が描かれておらず、論語の「子不語怪力乱神」の教えを反映しています。木戸には108つの釘穴があり、孔子に対する高い敬意を示しています。
孔子廟は一般的な宗教施設と異なり、教育の機能を兼ね備えた「廟学合一」の施設です。孔子廟内には、古代式の礼楽のための楽器や儀礼用具が保存されており、毎年9月28日に市主催による祭孔大典が厳かに執行されます。儀礼に用いる礼楽や八佾舞などの伝統行事の継承は、来場者を惹きつけその歴史的・文化的な荘厳さを伝える祭典となっています。