本山五坑は、その名の通り、本山鉱業が最も栄えていた時代に使われた9つの坑道のひとつで、標高約295メートルの本山の中腹に位置する。金瓜石で1972年(民国61年)に金鉱山が閉山された後、五坑も1978年(民国67年)に閉鎖された。五坑は現在、本山九坑の中で最も保存状態の良い坑道であり、かつて金掘りに使われたエアコンプレッサー、トロッコ、洗い場、鉱石搬送用ケーブルウェイなどがそのまま残され、金瓜石の一世紀にわたる鉱業史を今に伝えている。2004年(民国93年)、黄金博物館は来園者に真っ暗な坑道で鉱山労働者がどのように働いていたかを体験してもらうため、元の五坑坑道の上方に新たに110メートルの坑道を掘削し、旧坑道と連結、元の70メートルの水平坑口を180メートルに延伸した。3か月以上の掘削を経て、現在の「本山五坑体験坑道」が誕生し、来園者は数十分で鉱山労働者の苦労を偲ぶことができる。五坑の内部では、アカシア材の「牛条仔(ニューテャオツ)」で補強された坑道壁に水の滴る音がこだまし、坑内の湿気を直ちに伝える。壁面の黄色味を帯びた照明が荒々しい岩肌を金色に染める。道中では、鉱山労働者のさまざまな作業段階――「牛条打ち」「掘削」「爆破」「鉱石運搬」――が影の中で静かに再現されている。阿金おじさんが来園者を坑道の奥へと導き、新参の若者と会話を交わしながら、金掘りの各工程を家宝のように語り、声が反響し、来園者の探索心をかき立てる。